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頭痛に鍼治療は有効なのか?!~症状改善と発作予防の観点から~

2019.03.06

 頭痛の患者さんは、それが主訴でなくてもよく来院されます。

 それでは、頭痛に対して鍼治療は効果のあるのかどうかということを論文からみていきたいと思います。

 

 その論文は2本ありますが、どとらも同じ鍼灸臨床家・研究者のものです。

 この2本をあわせて考察させていただき、頭痛に鍼治療が有効であるか、また予防効果はあるのかという観点を見ていきたいと思います。

 

〈論 文〉

1.神経内科診療における鍼灸活用の可能性を探る

-神経科学を背景とした医療技術として鍼灸を捉える

『神経内科診療と連携した鍼灸活用の実際』

 

山口 智 先生(埼玉医科大学東洋医学センター)

※「 臨床神経 2012;52;1287-1289に掲載 」

 

2.『 片頭痛発作に対する鍼治療の効果 』

-頭痛日数の減少と頭頸部等筋群の圧痛改善との関連について―

 

山口 智 先生、菊池 友和 先生、小俣 浩先生ほか(埼玉医科大学東洋医学センター)

※「 日温気物医雑誌 76巻3号;2013.5.に掲載 」

 

☆片頭痛の発作予防に対する鍼治療効果を調べるための研究

○ 頭痛日数、頭頸部筋群・咀嚼筋の圧痛・筋緊張を指標

○ 国際頭痛分類第Ⅱ版(ICHD-Ⅱ)で片頭痛の診断基準を満たした70例を対象

○ 70例の内訳は、(男性 22例・女性 48例)(平均年齢;35.3歳±14.3歳)(前兆あり 13例・前兆なし 57例)(紹介診療科;神経内科50例・麻酔科6例・心療内科6例)(罹患期間;10年以上46例・1~10年16例・1年未満8例)(服薬中50例;トリプタン、鎮痛薬、抗不安薬、Ca拮抗剤に期待された効果がみられない状況)

○ 条件

(調査期間)2004年4月~2008年4月(4年間)

(協  力)大学病院2施設、診療所1施設での外来可能患者

(年  齢)18歳~65歳

(除  外)二次性頭痛ではない・治療期間中、薬物療法の変更がないこと

(鍼  治  療)週1~2回  発作期でない日に治療を実施(予防効果をみるため)

      用鍼;40mm16号鍼、50mm18号鍼(セイリン(株)社製)

(治療方法)置鍼法または鍼通電法(1Hz ) 両者とも時間は10~15分

(治療部位)側頭部、顔面部、後頸・側頸部、肩甲上部、肩甲間部で反応のある経穴

(治療頻度)週1回~2回

(評  価)頭痛日記による中等度以上の頭痛・圧痛・筋緊張スコアによる

      鍼治療前・治療1ヶ月後・治療2カ月後に評価

 

結果①:初診時(鍼治療前)は、頭部、顔面部、後頸部、肩甲上部に圧痛があった。また、僧帽筋・板状筋・咀嚼筋群(咬筋、翼突筋、側頭筋)・肩甲挙筋・胸鎖乳突筋に緊張が見られた。⇒ 筋緊張やコリが片頭痛発症に重要な役割!

 

結果②:筋緊張スコア=鍼治療前⇒鍼治療1ヶ月後⇒鍼治療2カ月後、と改善。統計による有意差はみられなかったが患者の自覚としての感覚が変化。

 

結果③:中等度以上の頭痛日数=鍼治療前1カ月〈 6.4±4.4回 〉⇒鍼治療1ヶ月後〈 3.2±2.8回 〉⇒鍼治療2カ月後〈 1.8±1.7回 〉となり、有意に改善しました。⇒ 強い頭痛が発症する前に、定期的に週1・2回鍼治療を行うことで中等度以上の強い頭痛は予防できる可能性があります!!

 

結果④:頭痛日数の減少と正の相関があり、鍼治療を継続すると頭痛日数が減少することが証明されています。また、後頸部の圧痛・肩甲上部の圧痛・咀嚼筋群の圧痛とも正の相関があり、片頭痛は圧痛=コリなどとの合併が多く頭部よりも、頸部や顎部、肩甲骨周囲に存在する筋肉筋膜が関与している可能性が示されました。

 

納得

 

☆緊張型頭痛に対する鍼治療の効果

○ 対象;ICHD-Ⅱにおける緊張型頭痛に分類される96例(男性 23例・女性 73例)

○ 年齢;54.0±14.9歳

○ 鍼治療効果を分析しての有効率=82.3%

○ 鍼治療の改善と関連する因子=頸肩コリの改善・満足度

○ 鍼治療は、頸部、肩部のコリをとり、筋肉筋膜の緊張を改善することが示唆されます。

○ open loop pupillographyを用いた研究で、緊張型頭痛患者に対する鍼治療は縮瞳層に影響を及ぼし、瞳孔を支配する副交感神経の機能亢進が示唆されました。⇒ 鍼は脳の高位中枢に影響があり、頭痛の改善に寄与することが考えられます。

○ 健常者と緊張型頭痛患者に対する鍼治療の反応は違い、正常でない身体状態(症状発症・疾病状態)では、鍼治療は生体のホメオスターシスの向上により関与していることが明らかとなりました。

 

 以上より、片頭痛、群発頭痛、緊張型頭痛には鍼を中心とした鍼灸が有効であるということはお分かりいただけるかと思います。

 

 そのために必要なこと!!

☆週1・2回の鍼灸治療を一定期間(2カ月)継続することです。

 

 これは前回、お話に出てきました、慶応義塾大学医学部 漢方医学センター頭痛外来を行っている鳥海 春樹 先生も「片頭痛は脳の中枢(記憶?!)が関与しているので、3か月は通院が必要であり、かなり効果があがる」と話しておりました。

 

 また、当院は東洋医学研究所®グループですが、所長の黒野 保三 先生の治療方針、これまでの生体制御機構と鍼治療の研究から「週1・2回の鍼治療」で生体のホメオスターシスの鼓舞を含めた、健康管理の鍼治療、養生の鍼治療を提唱されています。当院もこれに準じていますが、他の医療機関、研究機関でもこのような研究結果が出てるということは、患者さんのためにも、自分の臨床への自信という意味でも嬉しく思います。

 

 一次性頭痛は、鍼灸治療が適応する、効果的であることがご理解いただけたかと思います!!

 

 頭痛やそれにともなう肩こり(ニワトリが先か、卵が先か?!)等でお悩みの方は、どうぞ一度ご相談いただければ有難く思います。

 

長くなりました!(^^)! 最後までお読みいただき、ありがとうございます(^O^)/

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